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雪と菫青石

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パスタとお姫様

「お前、いつまでいるんだ?」
「明日の朝帰る」
本日突然一護の家を訪れたルキアは、なぜか義骸に入っていた。
清楚な白のワンピースを着ている彼女は、死神には見えない。
「何しにきたんだ」
「そうだな…囮になりに」

以前のような自然さで一護の部屋に勝手に上がると、ベッドのはじに座って彼女は伸びをした。
「…で、囮って?」
小腹が減った、何か作れと無体なことを言う彼女の為に、一護は階下から即席のパスタ入りスープを持って来てやった。
「ありがとう」
「熱いからな、気をつけろよ。それと、5分待て」
「5分?」
「湯を入れてからパスタが食えるようになるまで、5分かかんだよ。容器に書いてあんだろ」
「ほう」
ルキアは紙製の容器をじっくり観察した。確かに側面に『5分で出来上がり』と赤字で書かれている。
「5分で料理ができるのか!現世にはすごいものがあるのだな!」
え、そっちってカップラーメンとかないの?と、逆に一護は軽い衝撃を受けた。
「で、囮ってなんだ」
気を取り直し、話を最初に戻す。
「今日の私はどこか違うであろう!」
「全然違わねえ」
胸を張るルキアを一刀両断に切り捨てた。
「そうか、わからぬか。無理もあるまい」
なにせ新作義骸であるからな、と彼女は一人で納得している。
「今日の私は『美味しそうな匂いのする間抜けな人間』という霊圧をまとった義骸に入っているのだ!」
「はいぃ?」
言ってる事がさっぱり理解できず、一護の眉間の皺が深くなった。
「いかにも死神といった風情で見回りをしても、知恵の回る虚には感づかれてしまうであろう?
 そういう小賢しい虚を誘いだす為に、私が囮になることにしたのだ。
 この『霊力はありそうなんだけれどなんの修行もしてなさそうで戦闘力は低く』
 『隙だらけで一口で食ってしまえそう』な雰囲気の義骸に入ってだな、
 しかるべきところを一晩中うろうろしておれば」
「やめろ」
「なぜだ。戦闘面は車谷どのがサポートしてくれるのだぞ。いざとなれば私も義魂丸で…」
「違った意味で危険だろ。虚じゃなくて別の奴に目をつけられたらどうするんだ」
「まあだから俺が警護についているわけだが」
がらりと窓が開けられ、派手なアロハシャツを来た恋次がそこから入ってきた。彼も義骸に入っているようだ。
「てっめえ…!窓から入んなって毎回いってんだろ!」
「男が細かいことにこだわるな」
恋次は一護の抗議を鼻で笑って受け流すと、ルキアの近くの床に腰を下ろした。
「私は警護などいらぬと言ったのに」
「そう言うな。一般人に絡まれた場合、鬼道で怪我でもさせちまったら問題になるだろう」
「…問題になるのかよ」
じっとりと湿った声で、一護が割り込んで来た。
「その割には、俺も石田も思いっきりお前に危害加えられてたよなあ?」
「だってどう見てもお前ら一般人じゃなかったじゃねえか」
非正規死神代行(当時)と滅却師。どちらにしても排除対象だと、恋次は人の悪い笑みを浮かべた。
あーこいつ絶対一般人でも斬るに違いない。
ルキアにちょっかい出す輩が出たら、徹底的に殲滅する気だ。そういう目をしている。
そう思った一護は、机に向かって参考書を広げた。
学びたい分野ができて、学校に入り直すことにしたのだ。その準備で彼は忙しい。
関わり合いになってたまるか、と彼は思った。
「いい匂いだな」
恋次は、ルキアが食べ始めたスープパスタに興味を引かれたようであった。
「美味しいぞ」
スプーンにひとさじ掬い、ふーふーと冷ましてから、ルキアはそれを恋次の口に運んだ。
「旨い」
餌付けされてる猛獣みたいだな…と、食べさせてもらってる恋次を見て一護はぼんやり思った。
「俺、勉強で忙しいから。帰ってもらっていいか?」
恋次が一緒なら心配する事もないと判断した一護は、二人を追い返すことにした。
「邪魔したな」
「うむ、馳走になった。かたじけない。今度礼はするぞ」
「あの旨いの、なんだ?」
「あれは、湯を注げば5分で完成する『ぱすた』とかいうものだ!」
一護に教えられた知識を、早速彼女は披露した。
「へえ。どこで手に入るんだろうな」
「うむ、買って帰りたいものだな」
「あれだったら角のコンビニで…ってお前ら、現世の金持ってんの?」
驚く一護に、ルキアは得意げな顔を向けた。
「今回は夜勤手当の他、現世通貨の特別手当もつくのだ」
ワンピースのポケットからピンクのウサギ柄の小さながま口を出し、
「なんとおやつ代300円が支給される!」
すごいだろう、とルキアは胸を張った。
「…お前らさあ…」
間違いなく騙されてるよね、いろんな方面に。
その言葉を飲み込んで、一護は参考書に目を落とした。




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今回の『最終章』が終わったあたりの時期、という設定で。
平和が戻って来たら、一護に死神代行以外の未来もあるといいなあ…という思いも込めて。

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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

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