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雪と菫青石

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パスタとお姫様前日譚〜尸魂界にて〜

「囮だあ?なんでてめえがそんな真似しなきゃなんねえんだ」
「仕方あるまいよ。空座町はもともと十三番隊の管轄だ」
妙な任務を押し付けられたというのに、ルキアは清々しい顔でいた。
「それに新型義骸の実験も兼ねている。十三番隊の中では私がもっともあの義骸との適合率が高かったのだ」
それにしてもよ、という恋次の反論は口の中で消えた。
背筋をぴんと伸ばし、任務のことだけをまっすぐに見据えているルキアには、何を言っても無駄なのだと知っているからだ。
それにしても、である。あの悪名高き技術開発局の、ろくでもない新作である。

『名付けて、虚ホイホイとでも申しましょうか』
プレゼンテーションした技術開発局の名前も知らぬ職員はそう言っていた。
その時スクリーンに映し出されていたのは、何の変哲もないただの義骸であった。
『特徴は、虚を誘因する霊圧を纏わせていることです。
 適度に霊力が高く、人間界に稀にいる霊能者のごとく修行を積んでいる雰囲気もなく
 適度に弱そう、つまり容易に補食が可能であると思わせる---------
 要するに、虚の餌食になりそうな雰囲気満々ということです』
彼は義骸のスペック表をスクリーン上に拡大した。
『しかし実際はこの戦闘力。そして中に入るは、百戦錬磨の死神。
 匂いにつられてノコノコやってきた虚を、一刀両断--------』
なにが一刀両断だ、適当なこと言いやがって。と恋次は腹を立てていた。
あの時は、まさかルキアがその義骸の被検者に選ばれるとは思っていなかったのである。

ルキアが、義骸に入って夜の町を歩く。
現世風の、あんな薄っぺらい布の服を着て。しかも一人で。
それを想像するだけで、恋次の胸は波だった。
「いつだ」
「なに?」
「お前が囮をやる日。上に申請して、合同作戦にできないか」
「馬鹿なことを言うな」
ルキアは恋次の言葉を一蹴した。
「合同で作戦を立てるほどの大掛かりな任務ではない。ただの試験だ。
 そんなこと、兄様がお許しになるまい。
 くだらぬことを考えずに、お前はお前の職務を遂行する事だけを考えろ」

そんなことのお許しが出たから恐ろしい。と恋次はひっそり肩を竦めた。
ルキアとあんな会話をしてから数日が経っていた。
彼女が新型義骸の被検者に選ばれたと知ってからの、白哉の行動は素早かった。
『新型義骸の六番隊への導入を視野に入れ、十三番隊の試験に同行し視察したい』
そう上層部に申請し、浮竹に根回しし、いつの間にか恋次が実験に同行することになっていた。
あの日恋次が妄想した事と同様のことを、白哉も懸念したのであろう。
彼は白哉に、ルキアの警護を命じられていた。

「結局お前と一緒か」
出発の日、義骸に入ったルキアは穿界門の前で彼に笑いかけた。
「なんだよ、嫌なのか」
「いや、心強い。現世ではよろしく頼む」
拍子抜けすることに、ルキアはいつものような毒舌を吐かなかった。
「恋次は通常義骸なのだな?」
「そうだ」
「その眉毛はなんとかならなかったのか?人間界で悪目立ちするではないか。
 変な入れ墨の入った凶悪面では、虚が近寄るどころか逃げていくだろう」
結局思わぬところから攻撃が飛んで来た。
むかっとしてルキアを睨みつけると、青紫色の瞳が、挑戦的な色を浮かべて見返してきた。
着ている服のせいで、ほっそりとした肢体が今日はよくわかる。
すらりとした手足とか、細い腰回りとか---------胸の膨らみとかが。
惚れた弱みだ、と恋次は思った。
可愛くて、直視できない。
どうしても視線がいってしまうその胸元から目をそらし、恋次はぼそりと呟いた。
「てめえこそなんだ、そのぴらぴらした服は?」
「このワンピースなら、現世の通常装備だ。貴様のシャツの方こそ、趣味が悪い。
 そんな妙ちきりんな鯉の柄など、どこに行ったら手に入るのだ。」
言い争いをしている二人の鼻先に、地獄蝶が放たれた。
二人の顔がすっと引き締まる。
穿界門が今、開いた。




-----------------------
(後書き)
タイトルが意味不明すぎると思いますので、イチルキ恋小説に分類されている『パスタとお姫様』の方からお読みいただけると幸いです。
ルキアの任務に、隊の違う恋次がなんでどうして同行したかの言い訳を考えてみました。
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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

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